宮崎県にある、航空自衛隊新田原基地の周辺の住民たちが騒音被害を訴えた裁判の2審の判決で、福岡高等裁判所宮崎支部は、原告全員の被害を認めて国に2億円余りの賠償を命じました。一方、自衛隊機の飛行の差し止めについては、1審に続いて認めませんでした。
宮崎県新富町にある航空自衛隊新田原基地の周辺の住民170人余りは、自衛隊機による騒音で健康や日常生活に大きな被害が出ているとして、国に対し、飛行の差し止めと賠償を求めました。
1審の宮崎地方裁判所は3年前、1億2300万円余りの賠償を国に命じましたが、自衛隊機の飛行の差し止めは認めず、双方が控訴していました。
2日の2審の判決で、福岡高等裁判所宮崎支部の西森政一裁判長は、1審が騒音被害を認めなかった6人を含む原告全員の被害を認め、2審の審理が終わるまでの期間分を増額して合わせて2億2400万円余りの賠償を命じました。
一方、将来の被害の賠償については認めなかったほか、飛行の差し止めについても「自衛隊機の運航が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くと認めるのは困難だ」として、訴えを退けました。
基地の騒音をめぐる裁判では、最高裁判所が2016年に神奈川県の厚木基地について自衛隊機の飛行差し止めを認めない判断を示してから、各地の裁判所で同様の判決が続いています。